有期労働契約について(2)有期労働契約の問題点|知っておかないと損をする中小企業経営の為の法律情報 法律コラム|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
前回は、有期労働契約の現行制度の概要をお話ししましたが、今回は有期労働契約に関する問題点について説明します。
【有期労働契約の実態と役割】
有期契約労働者の数は近年増加傾向にあると考えられ、厚生労働省が行った実態調査によれば、有期契約労働者の平均更新回数は5.7回、平均通算勤続年数は3.2年であり、7割程度の事業所が雇止めを行ったことがないとしています。契約更新を11回以上行っている事業所や勤続年数が10年を超える事業所も1割程度あるなど、一時的・臨時的ではない仕事について有期労働契約の反復更新で対応している例も見られます。
有期労働契約の問題点は、主に労働者の側で、雇用の不安定さ、労働条件の格差、キャリア形成が困難であること等があります。また、雇止めを背景に、労働条件の切下げが容易に行われたり、年休取得等の労働者としての権利行使が阻まれたりする懸念があり、実際にそのようなトラブルも発生しています。使用者側が有期労働契約を反復更新する理由は、契約を打ち切るフリーハンドを確保し、処遇格差を正当化するためではないかとの意見もあります。
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一方で、有期労働契約は、定年後の再雇用、職場復帰等、働く側のニーズ・価値観が多様化する中で多様な雇用の場を確保するという機能も有しています。また、会社の側も、特段の支障のない限り更新を繰り返すことを予定しており、実態調査でも雇止めを行ったことのない場合が大半であることから、有期労働契約をどのようにしてより良質な雇用の場としていくかが問われています。
【契約締結できる場合を限定すべきか?】
現行制度においては、当事者が合意して労働契約に期間の定めをすることは、労働基準法の上限規制(原則3年)の範囲内である限り自由に行うことができ、その目的や理由によってこれを制限するルールは存在しません。しかし、雇用の原則は期間の定めのない直接雇用が基本であり、有期労働契約は例外と位置付けるべきとして、有期労働契約を締結できる場合を一定の目的や理由がある場合に限定する規制(締結事由の制限)が必要であるという議論があります。
たとえば、フランスやドイツでは、有期労働契約を締結できる事由を一時的な事業活動の増加や季節的・一時的な業務等の場合に限定し、該当しない場合は期間の定めのない労働契約とみなすことによって、締結事由を制限しています。
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【更新回数や利用可能期間、雇止めの問題】
前回のコラムで述べたように、有期労働契約の更新回数や利用可能期間について法律上の制限はなく、有期労働契約の契約期間満了の際に、当事者の合意により有期労働契約を更新することができます。
一方、雇止めについては、労働者保護の観点から、判例法理(雇止め法理)が形成されており、一定の場合について、期間の定めのない労働契約での「解雇権濫用法理」が類推適用され、客観的・合理的理由を欠き社会通念上相当と認められない雇止めについては、使用者の意思にかかわらず、契約が更新されたものとして扱うものとされています。
このように、契約の更新回数や利用可能期間が当事者の自由に委ねられている一方で、雇止め法理が形成され、それがどのような場合に適用されるかがはっきりしていないという予測可能性の低さが問題となっています。労働者にとっては、いつ更新が拒絶されるかも分からないということが雇止めの最大の問題といえます。
そこで、この問題の解決のために、契約の更新回数や利用可能期間の上限を設けるべきか、また雇止め法理の法制化等を行うべきかについて議論があります。
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【契約締結時及び終了時の手続について】
前回のコラムで述べたように、労働契約の締結に際しては、労働契約の期間に関する事項等を書面により明示することが義務付けられていますが(労働基準法第15条、労働基準法施行規則)、有期労働契約の更新の有無、更新の判断基準について、使用者が労働契約締結時に明示することについては、大臣告示が存在するだけで、法律上の義務とはされていません。そこで、これらのルールを、法的に義務付けるべきか、また罰則を設けるべきかについての議論があります。さらに、有期契約労働者に対する雇止め予告について、予告がない場合には労働基準法の解雇予告手当と同様の雇止め予告手当の支払を義務付けるべきとする意見もあります。
この問題と関係するものとして、現在、有期雇用契約の黙示の更新について規定する民法第629条の規定が民法の債権関係の部分の見直しの中で検討課題となっています。
氏名:高橋弘泰
生年:1970年生
弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属
学歴:
1994年東京大学法学部卒業
得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。
所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html
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